開発者の遺志

40年に渡ってマグロに携わり特殊なマグロ「まぐろまん」を開発することに命を懸けてきた開発責任者が今年7月に不慮の事故で道半ばにして他界してしまいました。「専門家でさえも扱い方が非常に難しいと言われるマグロだがマグロを全く扱ったこともないような素人でも扱えるようなマグロを作るのが夢だ」との大きな目標を掲げて開発に勤しんで来ました。そしてとうとう数年前に完成させ「マグロにロマンを託すという意味を込めて『まぐろまん』と命名し、地元愛媛の道後温泉ホテル関係に紹介しました。最も大手の総料理長が「これは凄い、すぐに使うから」と早速納品が決まり、その総料理長の進言もあって全国展開しようとシーフードショーに出展し続けました。彼の口癖は「まぐろまんにはブランド力もなければ営業力もない。ただあるのは商品力だけだ。しかしこの商品力で将来必ず大手が関心を持ち『売らせて欲しい』とやってくるに違いないからその日までみんなで頑張ろう」でした。彼の強い意志により国内有数の大手問屋が「面白い商品だ」と関心を示し、取り扱ってくれるようになりましたが、その時の彼の顔が今でも思い浮かびます。そしてコロナ禍の中で流通経路が大きく変化し、B to B時代から徐々にB to C時代に変わろうとする中今度は有名な大手通販会社から問い合わせを頂くようになりました。商談しながら一歩ずつ進めようとしていますが、改めて開発責任者の「商品力」の凄さに感嘆し、あちらの世界から目には見えない大きな力を与えてくれているような気がします。