活伊勢海老に学ぶ

得意先から活伊勢海老の注文を受けました。しかし大半の漁場は禁漁期間中で十分な数量を確保できていませんし、おまけに伊勢海老は夜行性という特質を持っており、漁期が解禁になっても満月近辺の期間はほとんど漁獲できません。実は今がちょうどその満月に近い期間であるために思うように獲れない状況です。更に年間を通じて「春海老は弱い」と言われ春先に獲れる伊勢海老は漁獲しても直ぐに死亡してしまうという極めて難易度の高い注文になりました。来週土曜日(26日)に55尾を揃えて欲しいという内容でしたが、丁重にお断りしました。婚礼用ですから使用される料理長さんたちは最高級品の活きた伊勢海老を所望され、最高級のおもてなしを考えておられたと思うのですが、出来れば産地状況などの現状をご理解頂いた上でのメニュー作成をお願いしたいと思っています。漁場にもよりますが3月から8月までが概ね禁漁期ですし、何といっても「天然物」なので供給が非常に不安定です。代用品として「活け締め凍結品」があります、品質的には活物と遜色はないのですが、「冷凍品でしょ」という具合にその価値をなかなか認めて貰えません。水産物を扱う上での非常に難しい難問です。まぐろまんも似ていて、天然原料を如何に品質を保持しながら安定供給を安定価格で提案するかということで生まれて来ました。産地と流通機関と実際に使用される調理現場とでしっかり情報共有することが大事かと思われます。